Peanuts Monkey Cuisine

I am just a monkey man, I'm glad you are a monkey woman too!

カオマンガイ

お気に入りのスーパーで今度は鶏むね肉が安く売っていた。確か100g40円を切っていたような。ありがたや。

せっかくだから大きい切り身が二つ入ったパックを買ってきたのでまとめて調理。

鍋にたっぷりの水、酒、鶏ガラスープの素、葱の青いところ、生姜、ニンニク、よく洗ったパクチーの根を入れて火にかける。

沸騰したら皮をむいただけのむね肉を入れて再沸騰したら蓋をして火を止めて一晩おく。そうすると翌日には茹で鶏とスープの出来上がり。

これを使ってカオマンガイ―タイ風チキンライスを作る。

 

タイ料理が好きだ。日本、韓国、フランス、中華、イタリア、その他諸外国料理ももちろん好きだけれど、とりわけタイ料理には特別な気持ちがあるように思う。

タイ料理に興味を持つようになったのは「気分はアジアめし」というマンガがきっかけだった。深谷陽という方の作品で、あまり質の良くない紙に刷られた単行本サイズだけど分厚い、コンビニでよく見かける500円くらいで売っているマンガの類だった。

昔から料理を扱ったマンガや本が好きだったので、タイ料理かぁー、へぇー、よく知らんけど買ってみよー、と思い何気なく手に取ってみたらこれが今まで見たことのない料理の数々と人々の雰囲気、そしてストーリー自体もとても面白くてすっかり虜になってしまった。

内容としてはざっくり言うと、「スパイスビーム」と「スパイシー・カフェガール」という2作品を合わせたもので、どちらも共通しているのが現在無職のちょっとパッとしない青年が何気なく入ったタイ料理屋で食事をし、その味に感動し、たまたま従業員を募集していたのでその店で働くようになり、そこで仕事をするなかで出会う様々な人とその人らに纏わるタイ料理のエピソードを描いたヒューマンドラマ。

その店の店長、作品内ではボスと呼ばれている男性(どうみてもボクサーあるいは堅気ではない人)とエキゾチックなウェイトレス(とにかくいろいろ露出している)のキャラクターも強烈で面白いのだけれど、なにより出てくる料理がとにかくたまらなく美味しそうで、当時タイ料理をまったく口にしたことのなかった私にとっては未知なるもの、尚且つ憧れの対象になり、読み込むにつれタイ料理と名の付くものを片っ端から食べてみたくなったのだった。

 

茹で鶏は薄くスライスしておく。もし余ったら冷蔵庫で保存すれば多少は持つけど3~5日くらいで食べきりたい。ほぐしてサラダや麺類の具に使えるし、もちろんそのまま食べても結構旨い。私が好きなのはしゃぶしゃぶのごまだれをかけたもの。ごま油やラー油を足してもいいし、葱か玉ねぎやきゅうりやパクチーを添えても。更に花椒やすりごまも良い。つまりは簡単棒棒鶏。お酒のお供に最適。

他にも和食や洋食などにも使えるけど、汎用性を考えるとパクチーの根は省いたほうがいいのかな。でもこれがあるとがぜんタイっぽくなるので悩みながら結局いつも入れている。

 

まずはこのマンガに載っている料理は全て食べてみようと思い、可能な限り調べてはタイ料理店に食べに行ったり、カルディや業務スーパーで○○の素みたいのを買っては自分で作ってみた。それからタイ料理を取り扱うブログを読み、タイ料理本を買い、ナンプラー、ココナッツミルク、米粉麺、カレーペースト、赤唐辛子、青唐辛子、パクチー、コブミカンの葉、レモングラスなどを買って料理してみたり、しまいにはどうしても現地で料理が食べてみたくなり、休職中に退職金とボーナスをはたいて相方を連れてタイ旅行に2週間行ってきた。もちろん本場の料理は大体とても美味しかった。レストラン、屋台はもちろんフードコートやマクドナルドも。

しかし今思うとグリーンカレーやガパオ炒めはともかくとして、ラープ・ガイ(鶏肉を細かくしたものとハーブ類のサラダ)とかソムタム(青パパイヤのサラダ)やパッタイ(タイ風米麺焼きそば)などを取り上げたこのマンガはなかなかに渋いなと思う。このマンガが出た当時はまだそんなにタイ料理が浸透してなかったと思うのに。

もちろん今回のカオマンガイもこのマンガで知った。詳細は省くがちょっと心温まるエピソードだったので特に興味を持った。そして辛くないし(実はそんなに辛味に強くない)。

 

作ったスープを使ってご飯を炊く。普通のお米でも玄米でももちろん美味しいのだけれど、やはりジャスミンライスがよく合う。カルディとかで300円くらいで売っている。一回分ちょっとくらいしか入ってないので割高だけれど。

炊き方としては普通のお米や玄米ならいつもの水の代わりのこのスープを使う。ジャスミンライスを使う場合は軽く洗ったジャスミンライスに対して1.5倍の水量で炊く。まずお鍋に米とスープを入れ蓋をして強火。噴いてきたら一回かき混ぜてまた蓋をして極弱火で量によるけどだいたい約10分。普段のお米なら蓋は開けないけれどジャスミンライスの場合はかき混ぜたほうがいいみたい。

表面に小さい穴がふつふつ空いてきたら炊きあがりのサイン。そしたら火を止めて約10分蒸らす。

ちなみに我が家では小さい土鍋を使う。ジャスミンライスには邪道と分かっていても気分的に美味しいし見た目もいいのでついやってしまう。

 

カオマンガイ、というのはタイ語でご飯(カオ)、脂(マン)、鶏(ガイ)という意味。

つまり鶏の脂ご飯。でも日本語にするなら鶏スープで炊いたご飯茹で鶏乗せって感じかと思う。炊き込みご飯まではいかないけれどそれに近いものというか。

ちなみにタイではこれにルワッドという血を固めたぷにぷにしたものが付いてくるのだが、特に味も無く、なんだかよく分からないものだった。そもそも血はちょっと苦手というのもあってあまり好きじゃない。タイ料理に精通している方ならきっと好きなものなんだろうけれど。でもこれが付いてきたカオサンの屋台で夜中に食べたカオマンガイは実に美味しかった。ぼられたけど。

 

そういやあこのマンガ、最近読んでないなあと思いカオマンガイのエピソードだけでもと読み返してみたら記憶していたよりずっと王道というかベタベタな展開だったのでちょっと笑った。料理がエスニックだったから気にせず読めたのかもしれない。まあ料理マンガで複雑なストーリーにされてもそれはそれで困るけど。

 

ご飯を蒸らしおわったらスライスした鶏とお手軽即席ソース(ナンプラー、醤油、お酢、レモン汁、生姜のみじん切り、パクチーの茎のみじん切りを合わせたもの)を用意して出来上がり。パクチーの葉を添えると一見本場っぽいけれど実は本場タイではそんなに何でもかんでもパクチー載せていない。むしろ無いことのほうが多かった。

ソースをかけた鶏とご飯を一緒に食べるとおいしい。土鍋だとおこげもまた嬉しい。

 

いただきます。

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(分かりにくいのですが、奥の土鍋がご飯で手前の白いのが鶏肉です。お供はタイ風春雨サラダと豆苗のオイスターソース炒め)

 

 

もんきー